ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2

「ごめんね、聖。ありがとう」


オフィスビルを出てからお詫びとお礼を言った。
聖は何のこと?と聞き返し、私は言葉足らずな部分を補足した。


「大輔さんのこと。愛想悪くないって言ってくれて…」


「ああ、なんだ、そのこと?だって本当でしょ?どう考えてもオフィスの外では別人だもんね、副社長は」


頭の中に何が浮かんだのか、ニヤッと笑って付け足す。


「ケイ以外は眼中にないって言うか、それ羅門さんも言ってたことなんだけどね」


口元に笑みを浮かべる聖をマトモに見れなくなる。
部署内と同じように顔を背け、頬に熱を感じた。


「副社長ってケイの前では素が出てるよね。見た目のカッコ良さよりも可愛い感じがする」


「か…可愛い?」


驚いた声を出す私に頷き、聖はこんなことまで言いだした。


「市民ボランティアの集まりがある時の彼ってデレデレなんでしょ?見てらんないって羅門さんが笑ってたよ」



「デ…デレデレ!?」


「気がつくといつもケイを見てるって。自分じゃ意識してないかもしれないけどな…って言ってた」


友人同士のカップルの話って怖い。
大輔さんがそんなふうに見られてたってことは、私も相当ガン見されてたに違いない。



「ヤダもう」


オフィス内だけでなく、外でも緊張するじゃないの。


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