ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「今夜会うの?」


ギクッとした。
日曜日の帰り、送られる車の中で明日も一緒に夕飯を食べないかと誘われたけど……



「ううん。今日は真っ直ぐ家に帰る」


金曜日も土曜日も大輔さんの部屋に泊まってしまった。
今日くらい帰っておかないと、両親やおばあちゃんにまで冷やかされてしまう。



「なんだ、そうなの。ふぅん…」


「ふぅん…って、なんか変?」


ドキッとする。
聖の目が悪戯っ子のように細くなり、唇が横に広がった。


「…いや、羅門さんから聞いたの。副社長は女に畳み掛けるように迫るんだって。だから今夜もきっとお誘い受けてるじゃないかなと思っただけなのよ」


「たた…畳み、掛け、るー!?」


あわわ、マズい。思いっきり吃った。

聖はケラケラと笑いだし、そんなに緊張することでもないでしょう…と言った。


「付き合い始めってそんなもんよ。お互いがデレデレで甘々でさ」


「で…デレデレにあ、甘々ぁ?」


私は彼にデレデレ…は、してると思う。あ…甘々は…どう、だろう。


「ケイってばそんなにマジメな顔して考えなくってもいいのよーー!」


すっかり聖の茶化しに乗ってしまった。
真剣に受け止めてしまったことを今更ながらに恥じる。


「いいじゃない。彼氏が迫ってくるって大事よ。自分はキレイになれるし、愛も深まる一方だしさ」


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