ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「す、すみません!」
つい癖のように謝ってしまった。
社長は呆れるような顔をして苦笑した。
でも、次に言った言葉は優しかった。
「謝るようなことじゃないだろ」
「う」が付かないだけで別人のように聞こえるのはこの人くらいなもんだろう。
ぽかんとしてしまう私の前に、湯気を立てた山菜天ぷらと蕎麦のセットが持ち込まれた。
「お出汁の中に天ぷらを入れられても美味しいですよ」
三角巾を被った壮年のおばさんが言った通りにしてみる。
ウドやゼンマイなんかの入ったかき揚げは、出汁につけると丁度いい塩加減がついた。
「この天ぷら、衣が美味しい!小麦の香りがする!」
「天ぷら粉もこの店の自家製なんだ」
「えっ、そうなんですか!それでこんなに美味しいんだ」
すっかり尊敬語も丁寧語も吹っ飛んでしまった。
ぞんざいな口調になっても、社長は怒ったりもしない。
不思議な感覚で食事を済ませた。
最後に「蕎麦湯です」と言われて持ってこられたものも、テーブルに置いてある出汁を加えて飲んでみると美味しかった。
「なんだか満たされたぁ……」
日頃食べている蕎麦とは味も香りも違っていた。
そんなに高価なものでもない筈なのに、とても味が深かった。
「片桐さんは蕎麦が好きだろ。社内でもよく食べてるのを見かけるもんな」
つい癖のように謝ってしまった。
社長は呆れるような顔をして苦笑した。
でも、次に言った言葉は優しかった。
「謝るようなことじゃないだろ」
「う」が付かないだけで別人のように聞こえるのはこの人くらいなもんだろう。
ぽかんとしてしまう私の前に、湯気を立てた山菜天ぷらと蕎麦のセットが持ち込まれた。
「お出汁の中に天ぷらを入れられても美味しいですよ」
三角巾を被った壮年のおばさんが言った通りにしてみる。
ウドやゼンマイなんかの入ったかき揚げは、出汁につけると丁度いい塩加減がついた。
「この天ぷら、衣が美味しい!小麦の香りがする!」
「天ぷら粉もこの店の自家製なんだ」
「えっ、そうなんですか!それでこんなに美味しいんだ」
すっかり尊敬語も丁寧語も吹っ飛んでしまった。
ぞんざいな口調になっても、社長は怒ったりもしない。
不思議な感覚で食事を済ませた。
最後に「蕎麦湯です」と言われて持ってこられたものも、テーブルに置いてある出汁を加えて飲んでみると美味しかった。
「なんだか満たされたぁ……」
日頃食べている蕎麦とは味も香りも違っていた。
そんなに高価なものでもない筈なのに、とても味が深かった。
「片桐さんは蕎麦が好きだろ。社内でもよく食べてるのを見かけるもんな」