君に溺れた
守りたいもの
今思えば、真凛の様子はおかしかった。

真凛が俺におねだりをすることなんて今までなかったし、ここ最近の真凛はやたらと笑っていた。

俺はそのときはわからなかった。

ただ、俺に心を開いてワガママを言ってくれるようになった。

それが単に嬉しかったんだ。

だから、気づかなかった。

真凛が辛い時こそ笑っていることに。

笑顔の奥に涙を溜め込んでいたことに、俺が気づけていれば、きっと彼女はまだ、俺の腕の中にいたはずだ。

17歳の君に完全に溺れていた。

真凛、今どこにいる?

これだけはわかっててほしい。

俺は君を守りたかったんだ。

何でも、その小さな体に背負い込もうとする君を、守りたかった。

それだけだった。

< 39 / 112 >

この作品をシェア

pagetop