闇に咲く華
「寝てたな……」
「うん」
「すげぇ遅刻か?」
「ううん。5分くらい」
「そうか」
組んでいた足を解いたものの、白玖は寝起きですぐに頭が働かないのか、視線を戻し再び俯く。
頭を支えるように髪を掴み。
「すげえ寝てた気がする」
「いつもの時間に出た?」
「出た」
「じゃあ、ちょっとしか寝てないよ」
「急げば間に合うな」
「うん、そうだね」
「まだ眠みぃ」
「白玖って座ったままでもホント熟睡だよね。授業中もそうだし……」
「もしかして、ずらしたのか?」
ずらした?
一瞬何を聞かれているのかわからなかったけれど、すぐに思い当たった。
「違うよ。寝ぐせが直んなくて、それでちょっと遅れただけ」
私がそう言うと、掴んでいた自分の髪を放した白玖が、深呼吸するように大きく息を吐いた。
「だったら、待ってて正解だな」
その言葉を聞いて、白玖にとっては別の可能性もあったのだと気付いた。