闇に咲く華
「飲み物はセルフな」
「え?」
「ジュースは冷蔵庫で、珈琲とかホット系がいいなら、そのケースに入ってっし好きに入れてくれ」
カフェのように出してはくれないらしい白玖が、濡れたシャツのボタンを外し出すから。
「ちょっと、ここで?」
「ああ、だな」
私に言われて初めて気付いたように、ボタンを外す手を止め、リビングの隣の部屋へと向かう。
「松井さんも遅せえのか?」
白玖まで松井さんと呼ぶことに、なんだか少し笑えてくる。
「うん。だって、松井さんと一緒に出掛けるって言ってたし」
ドアを開けたまま、着替えているらしい白玖にそう言いながら、何気なくそちらを見ると、部屋の壁に大きな布が張り付いているのがチラッと見えた。
白地に銀色のペイントで、真ん中にドクロが描かれていて、その下には斧と槍のようなイラストがバツ印のように重なり合っている。
少し厳ついけれど、かっこいいタペストリーのような物を、何だろうと思いながら見ていると、白玖がまた聞いてくる。