闇に咲く華


そうか、どれだけ自分が松井に慣れていなくても、松井姫乃という名前で出会った白玖からすると、松井以外だと逆に違和感があるのかもしれない。


だって、白玖が急に御影ではなく、松井白玖になったからといって、御影白玖で出会った私にすると違和感があり受け入れにくい気がするから。


「なんか変だよね」


考えると、それはそれでおかしく思えてくる。


「私より先に白玖の方が、私の名前に慣れてるって、変じゃない?」


「笑うんだな」


ふいにそんなことを言われるから、いったいなんの話かと思い白玖を見ると……。


「姫乃の笑った顔、初めて見た」


「嘘……私、笑ったことない?」


「自覚なかったのか?」


「なかった、かも」


笑わないでいようと思っていたわけでもないから。


「じゃあ、計算じゃねえんだな」


「計算、って何が?」


よくわからず首を傾げると、白玖がどこか困ったように笑い。


「家にふたりってなこのタイミングで初めて笑顔見せられて、俺がヤベえって思ってんのは、お前の計算じゃねえってことだな」


ますます意味がわからず、黙っていると。


「笑うと、イケてるってことだ」

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