LALALA
「…ど、どうして、わかるんですか?その、情熱とか…」
グラスをカウンターの上に置いて、姿勢をただした私は、恐る恐る聞いた。
「だって、季里ちゃん職人さんの手をしてるもん」
「え…?」
目から鱗、だった。
細かい作業の邪魔になるから、ネイルもなにもしてない、短く切った爪。接着剤を使うときに指に付いてよく洗うので、あかぎれみたいに荒れていた。
見慣れた自分の手だけど、他人の目線になって見るととても年頃の女性の手じゃないな、と思えて恥ずかしくなってきた。
両手を隠すような仕草をした私を、芝崎さんは見逃すことなく、続けた。
「いつも違うピアスしてて、私服のセンスもお洒落なのに、ネイルに全く気を遣ってないってことは、手先を使う仕事をしてるのかな、って推理しちゃいました」
ちょっとおどけた言い方をして、芝崎さんは肩をすくめた。
私はなんでもお見通しな、正に探偵みたいな推理を披露する芝崎さんの隣で、これまでのことを頭の中を整理する。
隣の席に座るとき見てたのって、便箋だけじゃなく、私の手元だったんだ。
「これ、ネットで注文してくれた人へのお礼状なんです」
ペンを持って、 私はまだなにも書いてない、まっさらな便箋を見た。
「押しつけがましくない文体とか、結構深く考えちゃうタイプだから一枚書くのにすごく時間が掛かっちゃって。それに私、字が汚いから、この為だけにボールペン字の講習とか受けたりとかして…」
「綺麗に丁寧に書くように、心掛けてるんだね」
グラスをカウンターの上に置いて、姿勢をただした私は、恐る恐る聞いた。
「だって、季里ちゃん職人さんの手をしてるもん」
「え…?」
目から鱗、だった。
細かい作業の邪魔になるから、ネイルもなにもしてない、短く切った爪。接着剤を使うときに指に付いてよく洗うので、あかぎれみたいに荒れていた。
見慣れた自分の手だけど、他人の目線になって見るととても年頃の女性の手じゃないな、と思えて恥ずかしくなってきた。
両手を隠すような仕草をした私を、芝崎さんは見逃すことなく、続けた。
「いつも違うピアスしてて、私服のセンスもお洒落なのに、ネイルに全く気を遣ってないってことは、手先を使う仕事をしてるのかな、って推理しちゃいました」
ちょっとおどけた言い方をして、芝崎さんは肩をすくめた。
私はなんでもお見通しな、正に探偵みたいな推理を披露する芝崎さんの隣で、これまでのことを頭の中を整理する。
隣の席に座るとき見てたのって、便箋だけじゃなく、私の手元だったんだ。
「これ、ネットで注文してくれた人へのお礼状なんです」
ペンを持って、 私はまだなにも書いてない、まっさらな便箋を見た。
「押しつけがましくない文体とか、結構深く考えちゃうタイプだから一枚書くのにすごく時間が掛かっちゃって。それに私、字が汚いから、この為だけにボールペン字の講習とか受けたりとかして…」
「綺麗に丁寧に書くように、心掛けてるんだね」