LALALA
思ってたのは、私だけだったのかな?
あの女を好きになったの?
私のこと嫌いになったの?
一緒に選んだ安くて子供っぽい食器も、タオルケットの独特な匂いも、朝の寝癖も。
ぴったし腕が回る背中も、童顔の癖にバリトンボイスなところも、首筋のキスも。
全部、大好きだったよ。
なくなっちゃうの?
「う、 っうう……」
やだ……。
やっぱり、なくしたくない。
いろんな感情がぐるぐると渦巻いて、頭は混乱、胸は苦しい。泣きすぎて、酸素不足。
アパートの前に辿り着く頃には、持ってたはずの傘はどっかにいってた。驚いたとき、か、誰かにぶつかったとき、思わず手から離してしまってたのかも。
けど、反対の手にはしっかりと、手紙が握られていた。
雨で、びしょびしょ。
謝らなければ。
「__うえっ、季里ちゃん!?」
ドアを開けた芝崎さんは、魚みたいにギョロっと目を見開いた。
口笛の店の電気は消えてたけど、チャイムを鳴らしたら奥のドアから芝崎さんが出てきた。店の奥に住んでるのかはわからないが、ペルシュと同じなら結構奥行きがあって、割と広いプライベートな部屋があるみたいだった。
「ど、どうしたのさ、そんなに……」
濡れて?
泣いて?
続ける言葉をどちらにするか模索でもしているのか困惑した表情で、私の身なりを上から下まで観察した芝崎さんは、なぜか申し訳ないといった加減の目力で、最後に泣き腫らした目を見た。
「これ…」手紙を差し出すと、「え、どこで、これ…」芝崎さんは驚いた顔で、私と手紙を順番に何度も見た。
あの女を好きになったの?
私のこと嫌いになったの?
一緒に選んだ安くて子供っぽい食器も、タオルケットの独特な匂いも、朝の寝癖も。
ぴったし腕が回る背中も、童顔の癖にバリトンボイスなところも、首筋のキスも。
全部、大好きだったよ。
なくなっちゃうの?
「う、 っうう……」
やだ……。
やっぱり、なくしたくない。
いろんな感情がぐるぐると渦巻いて、頭は混乱、胸は苦しい。泣きすぎて、酸素不足。
アパートの前に辿り着く頃には、持ってたはずの傘はどっかにいってた。驚いたとき、か、誰かにぶつかったとき、思わず手から離してしまってたのかも。
けど、反対の手にはしっかりと、手紙が握られていた。
雨で、びしょびしょ。
謝らなければ。
「__うえっ、季里ちゃん!?」
ドアを開けた芝崎さんは、魚みたいにギョロっと目を見開いた。
口笛の店の電気は消えてたけど、チャイムを鳴らしたら奥のドアから芝崎さんが出てきた。店の奥に住んでるのかはわからないが、ペルシュと同じなら結構奥行きがあって、割と広いプライベートな部屋があるみたいだった。
「ど、どうしたのさ、そんなに……」
濡れて?
泣いて?
続ける言葉をどちらにするか模索でもしているのか困惑した表情で、私の身なりを上から下まで観察した芝崎さんは、なぜか申し訳ないといった加減の目力で、最後に泣き腫らした目を見た。
「これ…」手紙を差し出すと、「え、どこで、これ…」芝崎さんは驚いた顔で、私と手紙を順番に何度も見た。