LALALA
こんな奴と、別れる別れないで悩んでたさっきまでの自分が。

なんか、ばかみたい。


「あんたなんかと一緒にしないでよ!だ、誰よあの女、会社の子!?」


私はまた大声を出す。


「そうだよ。会社の後輩。季里のこと見てテンパってたよ。宥めて帰ってきたけど」
「っ最低!!裏切り者!!謝ればかやろー!!」
「だったらそっちが謝れよ!」
「はああ!?なんでよ意味わかんない!」


自分でもびっくりした。
こんな悲鳴のような声が、出るのかと。


「私がなにか悪いことした!?」


苦しさと葛藤しながら、私は泣き叫んだ。


「俺はこの部屋に帰ってきても、落ち着ける気がしなかった。ここは季里の仕事部屋で、俺はただ間借りしてるような、感じで」


やや声のトーンを落とした博史は、今日初めて、私の顔を見た。
僅かに後悔が滲むような口振りだった。

ヤバい、こんなに憎たらしいのに、悔しくて仕方ないのに。


「博史…」


見つめられるとまだ、切ないよ。
視界が潤む。感傷は、新手のジェットコースターみたいに予測がつかなかった。

博史も、泣いていた。


「仕事のことわかってくれる同じ職場の子と一緒にいる方が、何倍も安らげるんだ」
「えっ……」


全身を、分厚い壁に叩き付けられたくらいの衝撃だった。


「簡単に荷造りしようかと思って来たけど、そんな気なくなった。居ないとき荷物まとめに来るから、いい日あったら連絡して」
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