LALALA
「早坂さん、急に辞めちゃったんだ。留学するんだって」
「え、こないだ働いてたよね?急すぎない?」


お釣りとレシートを受け取った夏子は、遠い目をしてうっすらと笑った。


「友達に誘われて、もう今行くしかない!って勢いついちゃったみたいで。私もさ、海外でいろいろ学んだから、気持ち分かるんだよね。不安よりも楽しい気持ちが勝ってるうちに、行っといた方がいいかも、そして彼女はそこで学ぶことはたくさんあるはず。突然バイトを辞められて残された者がどれほど苦労してシフトを回さねばならないか、ってこと以外にも、ね…」
「ま、そうね…」


ペルシュを出て、晴天の下で背伸びをした夏子は、「今日のピアス、夏らしくて素敵」と、言った。
今日は、ターコイズブルーのビーズと白のタッセルを組み合わせたピアスを、初めてつけてみた。


「やっぱり、思った通り。季里、センスいね!新しいヘアスタイルにも、とってもよく似合ってるし」


眩しい笑顔。

自分がいっぱいいっぱいで大変なときって。周りが見えなくなりがちだけど。
そんなときに、何気なく、周りのことを気遣かうことができる人が、本当に心優しい人なんじゃないかと思った。


「私、手伝うよ!店番」


前置きなくそう言ったら、あまりにも予想外だったのか、夏子は小動物みたいに両目をくりんと見開いた。


「えっ、いいの!?季里、製作で忙しいんじゃない?」
「それは、ちょっとくらいペース落としても、大丈夫だし。」
「えー、助かる!早速だけど明日、来れる?今日はなんとか乗り切るから」
「うん!朝イチで行くね」
「ありがとうー!季里」
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