LALALA
「博史は、私の仕事に対して、あんまり理解してくれてない部分があって。だから私、博史の前では自分の仕事に少し、引け目を感じていたの」
「そういう価値観が合わない相手と、一緒に過ごすのはちょっとしんどいよね」
「でも、もうそんな気持ちになる必要、ないんだなって。喜んで買ってくださるお客さんの姿を実際に見て。私、やっぱりアクセサリーが好きだから、それに関われるこの仕事に、誇りを持とう、って」


思えるようになった。
月曜日のあの雨の中で、震えながら泣いてた自分はもう、いない。


「そっか、前向きで素晴らしい」


ハンドルから離れた手は、私の頭をぽんぽんと、優しく数回バウンドした。
なんだか、子供みたいな自分が恥ずかしくなって、俯く。空調はほどよく涼しく効いているのに、頬だけが熱く感じた。


「あ、次のサービスエリア寄る?あそこのソフトクリーム、美味しいよ」
「あ、はい…」


ついでにトイレにも行っとこうか、と芝崎さんは言って、左にウインカーを上げた。

サービスエリアは休日なだけあって、駐車場は混雑している。
大きなワンボックスカーたちに挟まれるように停車して、私たちは車から降りた。


「なんて名前の車ですか?芝崎さんの愛車」
「フィアットだよ。ルパンが乗ってるのと同じなんだ。色は違うけど」
「へえー。芝崎さん、ルパン好きなんですか?」
「好き好き、超好き!子供の頃めっちゃ見てた。季里ちゃんは?」
「私は、映画とかなら…」


言った途端、芝崎さんは、あちゃー!という顔をした。


「ジェネレーションね、うん」
「さすがに一回り離れてれば、だって、私が生まれたとき、芝崎さんもう中学せ…」
「やめて!その比較やめて、なんかリアルだから」


慌てて私の口に手のひらを当て口止めし、「それより!トイレ行ってきな、ほら、空いてるうちに!」私の背中を押す。
リアルだからやめてとか言っておきながら、私のこと、子供扱いしてる。
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