LALALA
近くにいると、目が眩みそうだった。


「こちら川添季里さん、アクセサリー作家なんだ」


芝崎さんが私を手で指し示すと、花絵さんは興味津々といった感じで、どんな物をどんな風に作っているのか聞いてきた。


「じゃあ今日のピアスも手作り!?すごーい!これってもしかして、本物のお花!?」


興奮気味に、私の耳で揺れるすみれの花を、澄んだ目で覗き込んだとき。


「花絵は昔っから、不器用だからな」


一瞬、耳を疑った。

なぜならその台詞は、結婚するお兄さんが言う方が自然な感じがしたのに。言ったのは、芝崎さんだったから。

あの、音痴な鼻歌を歌う声で。


「あら、いけない!私たちこんなことしてる場合じゃないわ」


まだ式の最終の打ち合わせがあるというので、お兄さんと花絵さんは、慌ててチャペルに向かった。
私と芝崎さんが、控え室を出てチャペルの近くまで見送ると。

時間がないはずなのに、花絵さんはUターンして。私たちの目の前に、戻ってきた。


「川添さん、今日は来てくださって本当にどうもありがとう。楽しんでってもらえたら嬉しいです」


小首を傾げて柔らかく微笑むその様は、まるでおとぎ話に登場する本物のお姫様、そのものだった。
上品に身を翻し、足早に去っていく花絵さんの周りだけに、オーラのような、木漏れ日のような、特別な光の帯が集まっているようにきらきらと輝いて見えた。


「綺麗な人ですね」


うっとりとした、溜め息が漏れた。
芝崎さんと同級生ってことは、36歳。もっとずっと若く見える。


「ああ、花絵?」
「あんなに美人な方、初めて見みましたよ私」
「大袈裟だな、季里ちゃんは」


芝崎さんは呆れたように、いや、惚けたように。
ははっと乾いた声で笑った。
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