LALALA
「あら、まあまあ将ちゃんじゃない。来てたのかい?」
小柄のおばあちゃんが、ゆっくりとした歩調でこちらに近付いてきた。
優しそうな笑顔で。
「あ、ばあちゃん。どこ行ってたの?もう式が始まるよ」
「どこかに膝掛けを忘れてきてしまってね、探してたんだよ。車にあるかと思ったけどなくてねぇ」
「膝掛け?」
「うん、象牙色の千鳥格子の…。あれがなきゃ冷房がキツすぎて、年寄りには寒くてね」
「じゃあ俺、控え室の中を一回見てくるよ」
ちょっと待ってて、と言い残し、芝崎さんは控え室の方に戻って行った。
「将ちゃんのお友だち?」
目尻に深い皺を幾つも刻ませて、おばあちゃんは私ににっこりと笑い掛けた。
「あ、はい。川添季里です」
「梅食べる?」
「う、梅、ですか…?」
小さな黒いバッグをまさぐって、おばあちゃんが取り出したのは、ピンク色の袋に個装された、梅味のキャンディーだった。
古風な女の子のキャラクターが描かれている。
「あ、ありがとうございます…」
小指の爪くらい小さなキャンディー。口に含むと、痛いくらいの酸味が口内に広がった。
おばあちゃんは、廊下の隅に設置されたソファーに腰を下ろした。
私はどうしようかと思ったけど、近くまでそろそろついてって、ソファーの隣に立った。
「花絵ちゃんの、ウエディングドレス姿見ましたか?」
突然話掛けられて、私はおどおどしながら頷いた。
「はい。とっても美しくて…素敵でした」
「そうでしょう?私も楽しみで、さっき控え室に見に行っちゃった。あの子は昔っから綺麗な子だったのよ。将ちゃんと同い年だから。てっきり、私は将ちゃんと将来一緒になるんだ思ってたんだけど…」
黙って聞いている私に、おばあちゃんはおどけたように肩を竦める。
「なんてね。祐ちゃんもしっかり父親の跡を継いで、お仕事頑張ってるし、将ちゃんにも、あなたのような若くてかわいらしいお友だちがいて、本当に良かったわ」
小柄のおばあちゃんが、ゆっくりとした歩調でこちらに近付いてきた。
優しそうな笑顔で。
「あ、ばあちゃん。どこ行ってたの?もう式が始まるよ」
「どこかに膝掛けを忘れてきてしまってね、探してたんだよ。車にあるかと思ったけどなくてねぇ」
「膝掛け?」
「うん、象牙色の千鳥格子の…。あれがなきゃ冷房がキツすぎて、年寄りには寒くてね」
「じゃあ俺、控え室の中を一回見てくるよ」
ちょっと待ってて、と言い残し、芝崎さんは控え室の方に戻って行った。
「将ちゃんのお友だち?」
目尻に深い皺を幾つも刻ませて、おばあちゃんは私ににっこりと笑い掛けた。
「あ、はい。川添季里です」
「梅食べる?」
「う、梅、ですか…?」
小さな黒いバッグをまさぐって、おばあちゃんが取り出したのは、ピンク色の袋に個装された、梅味のキャンディーだった。
古風な女の子のキャラクターが描かれている。
「あ、ありがとうございます…」
小指の爪くらい小さなキャンディー。口に含むと、痛いくらいの酸味が口内に広がった。
おばあちゃんは、廊下の隅に設置されたソファーに腰を下ろした。
私はどうしようかと思ったけど、近くまでそろそろついてって、ソファーの隣に立った。
「花絵ちゃんの、ウエディングドレス姿見ましたか?」
突然話掛けられて、私はおどおどしながら頷いた。
「はい。とっても美しくて…素敵でした」
「そうでしょう?私も楽しみで、さっき控え室に見に行っちゃった。あの子は昔っから綺麗な子だったのよ。将ちゃんと同い年だから。てっきり、私は将ちゃんと将来一緒になるんだ思ってたんだけど…」
黙って聞いている私に、おばあちゃんはおどけたように肩を竦める。
「なんてね。祐ちゃんもしっかり父親の跡を継いで、お仕事頑張ってるし、将ちゃんにも、あなたのような若くてかわいらしいお友だちがいて、本当に良かったわ」