LALALA
モノクロの幾何学模様の便箋に。
したためられた、手書きの文字。
『手紙、読んだ?』
安心してください、と。
私は返したけれど。
私、本当は__
「季里ちゃん、どこ行ってたの」
ロビーで佇む私を見付けた芝崎さんは、ほっとしたのか、気の抜けた声で呟いた。
「ちょっとその、トイレに…」
「さっきのソフトクリームでお腹冷えちゃった?」
「…違います」
また、子供扱い。
式はもう始まる時間ギリギリで、私たちはこっそりと隠れるようにして、チャペルに入った。
前方の親族席でおばあちゃんが、遅れてきた私たちを見付けてにこりと目で合図する。膝に、千鳥模様の膝掛けを乗せて。
「おばあちゃんの膝掛け、見付かったんですね」
「うん、花絵の控え室に忘れてたみたい」
「…そうですか……」
「そそっかしいよね」
神々しい、光の中で。式が始まる。
新婦の花絵さんが登場すると、参列した誰もが、その美しさに目を奪われた。
私たちももちろん、例外ではなく。
昼下がりの採光がとても眩しい。
芝崎さんは終始、目を細めた。睫毛を伏せる。
芝崎さんより20センチは背が低い私から見たら、そこには切なげな、哀しげな、陰が出来た。
落ちていたあの手紙の中をちらりと覗いたとき、確認してしまった幾つかの単語。
“あなた、 ずっと、
好き、 言えな、
迷惑”。
それを、組み合せれば。
“あなたのことが、ずっとずっと、大好きでした。
今まで言えなかったのは、あなたに迷惑を掛けてしまうから”
ですか__?
幼馴染みで、お兄さんの彼女である女性に恋をしていたのだとしたら。これまでの様々な言動に、合点が行くような気がした。