LALALA
汗がすごい。
「はあ、はぁ……っ」
人の流れが多い方に向かって夢中で走ってたら、駅に着いた。
自動販売機が並ぶ通りで、私は足を止めると膝に手のひらをついて腰を屈め、呼吸を整える。
バッグからハンカチを取り出して、額に流れる汗を拭いた。
勢いでここまで来ちゃったけど、ちょうどいい電車の時間はあるのかな。「はあ…」特大の溜め息を吐き、とぼとぼと歩き出した。
そのとき。
「__季里ちゃん!!」
声とほとんど同時に、腕を強い力でがっしりと掴まれた。
驚きすぎて、一瞬目の前がCGみたいに、スローモーションに見えた。
「あのさ、俺」
息を乱す。
引き寄せられて、その吐息混じりの声が。
耳たぶの下で揺れるすみれのピアスの、すぐ傍で聞こえた。
「自惚れても、いいのかな」
駅を行き交う人々が、私たちの真横をすり抜ける。
自販機の前。きっと、邪魔だと思う。「…っ、」それでも、体が動かない。
「こんな風に逃げ出すって。あの手紙のことで、苦しくなるのって、」
芝崎さんの声は、濡れたように揺れていた。
「俺の気持ち考えてくれて、同情してるのか、それとも。俺のこと、好」
「芝崎さん、と、は!」
変なイントネーション。
で、遮った私は、焦って、苦しくて、泣きそうになった。
「と、年が離れてるからその、男性として、どうとか、そういうんじゃ…」
「そんなこと言われると、俺も一応男だって、精一杯アピールしたくなるんだけど」
見える世界が一気に変わるスピードで。
「__っ……」
くるりと体を回転させられ、きゅっときつく、抱き締められた。
胸に顔が埋まると、湿った雨の匂いがした。
「好きな子に振り向いて欲しくて、だっさいラブレターなんか書いちゃう、馬鹿な野郎だよ」