LALALA
聞き間違いかと思った。

こんな突然心拍数が激しく上がる状況で、会話を正常に聞き取れなかったとしても、無理もないもの。

でも。


「しかもそれ、うっかり落として差出人本人に拾われちゃうなんて。どんだけ格好悪いんだ、俺」


聞き間違いじゃ、ない……?


「ど、どういう…」こと?と、最後まで言い終えずに、芝崎さんは体を引き離した。
そしてばつが悪そうに、頭を掻いて俯いてから、私の目を真っ直ぐに見つめる。一ミリたりとも逸らせない。真っ直ぐに。


「君には博史くんがいたし。この気持ち、胸に留めとかなきゃいけないって、自制してて。けど、あるとき見ちゃったんだ。博史くんがその、君らが一緒に暮らしてた部屋に、女の子を連れ込んでるところを」


気まずそうに一旦、視線を落とす。私も釣られて項垂れた。


「それって、先月?」
「うん、だったかな」


恐らく、夏子たちと女子旅に行ってたときだ。
その頃から、もう、私は裏切られてて。芝崎さんは気付いてた。


「なんか、悔しくて。君が傷付くのは苦しい。どうしていいか、わかんなかった」
「……」
「そんなとき、ペルシュで話して、季里ちゃんの真面目なとことか、不器用なくらい真っ直ぐなとこが、ますます好きになって」
「……」
「書いちゃったんだ。ずっと好きでした、ってアレ。季里ちゃんに書いたんだ。俺、季里ちゃんのことが、ずっと、好きでした」



どうして、こんなに切ないんだろう。

心苦しいのだろうと。

芝崎さんの気持ちを想うと、芝崎さんに子供扱いされると。

思ってたけど。

やっと、分かった気がした。
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