LALALA



ぽつ、ぽつと不規則なリズムが聞こえる。
玄関のドアの外の、階段の手摺に掛けた傘から、雨が垂れている。


夜中、というかもう明け方に、博史は帰ってきた。
遅くまで発注のあった商品を作っていて、ちょっと休憩のつもりでベッドに寝そべっていた私は、ドアの開閉音にむくっと体を起こした。

旅行鞄の荷解きをした博史から洗濯物を受け取り、シャツは明日(というかもう今日)会社に着て行くと言うので、生乾きの洗い立てのシャツに欠伸を噛み締めながらアイロンをかける。

洗濯機を回してる最中に急いで作った朝御飯を、ほんの短い睡眠から目覚めた博史がもそもそと食べ始めた。
テレビでは、朝の情報番組が流れている。
今年の夏休みはどこに行きますか?なんて道行く人に取ったアンケートの結果が、画面に表示されていた。


「私たちは夏休み、どうする?」


ずず、っと音を立てて味噌汁を飲んだ博史は、寝ぼけた目でこちらを見た。


「今月ね、前に出版した本のお金が入るから、ちょっとくらいなら贅沢に旅行とかできるかも」
「まだ、わかんない。」


博史は短く言って、テレビのチャンネル替えた。


「え、でももう七月だし、早く決めないと…」
「しょうがないだろ?俺まだ下っ端だから、休みの希望は上司から先に出して決めてかないと俺らが言えるわけねーし。会社ってそういうもんなんだよ。季里にはわかんねーだろうけど」


そこまで矢継ぎ早にいった博史は、結局最初の情報番組で、チャンネルを回すのを止めた。


「あーあ、雨の日は憂鬱だな」


ちょうどアイロンがけが終わったとき、テーブルの上のお皿を全部空にした博史が、天気予報を見ながら呟いた。
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