健診診断と恋と嘘

松坂さんは四月に入社したドライバーさんで三十八歳の二児のパパさん、かなりの愛妻家だ。


優しくていい人だし同期みたいなものだから話しやすくてわりと仲が良いと思う。


桜宮総合健診センターは現在、世代交替の時期にきてるみたいで若い世代を積極的に雇用している。


二、三年のうちに定年になる人が多くいてここ数年で若い職員がぐっと増えたらしい。


看護課も一月に入った私ともう一人、四月から西川かえちゃんという結城さんと同い年の二十五歳の子が入社している。


「孤独を愛してるって、面白いこと言うよね、弓野さん。二十代の子が言う台詞じゃないけどね」


くくっと低い声を漏らして笑っている松坂さんに私は心外だと背を伸ばして胸を張って手を腰に当てる。


運転してる松坂さんには見えてないけどね。


「心外ですね、松坂さん。笑うとこじゃないですよ」


「え、笑うとこじゃないんですか?」


松坂さんと結城さんとそんな話を笑いながらして車に揺られているとあっという間に今日の健診会場であるYNT工業に到着する。


< 10 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop