健診診断と恋と嘘

「あの、名前……前に何か意味あるのって聞かれたじゃないですか」


あの時泣いちゃったから、多分小塚さんはもう聞いてこない気がするからちゃんと話さないと。


章が私の事を人殺しって言った理由も……。


ちょっと怖いけど、小塚さんなら受け止めてくれる気がする。


「無理して話さなくていいよ。朔ちゃんの事は何でも知りたいけど、泣かせたくはないからね。
あいつの方が俺より朔ちゃんのこと知ってるのはムカつくけど、これから時間はたっぷりあるし」


私を安心させるみたいに、優しい笑顔で頭を撫でてくれる小塚さんに胸がきゅんとなる。


小塚さんのこういうところ、すごく好きだな。だから、ちゃんと話さなきゃ。小塚さんに聞いてほしい。


「大丈夫です。私、十一月一日生まれなんですけど、昔は一日の事を朔日って言ったみたいで。一日の夜に生まれたから朔夜、なんです」


お母さんがつけた名前だって、お父さんが教えてくれた。


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