健診診断と恋と嘘
「小塚さんはお仕事は何をされてるんですか? 娘からは課長さんをされているとは聞いてるのですが……」
「自動車部品メーカーに勤めてます。そうですね、一応役職がついています。
うちの職場に健康診断に来てた朔夜さんに年甲斐もなく一目惚れしてしまって、お付き合いを始めた当初から結婚を前提にとお願いしていました。
もっと早くご挨拶に来たかったのですが……急な話で申し訳ありません」
凌ちゃん、何かすごいスムーズに話進めてる。
私との馴れ初めまでさらーっと話してるし、お父さん完全に凌ちゃんのペースに飲み込まれてるな。
「いやいや。遠いですし、課長さんじゃお忙しいでしょうから。朔夜もなかなか帰ってきてくれなくて……」
お父さんが眉を下げてそう言うとお兄ちゃんが気まずそうに視線を揺らす。
どうしたのかと思っていると、お嫁さんがお兄ちゃんの背中を叩いて、お兄ちゃんは覚悟を決めたように顔を上げた。
「ごめん、お父さん。朔夜が家を出てったのも、帰って来なかったのも俺のせい」
お兄ちゃんのその言葉にビクッとしてテーブルの下で凌ちゃんの手を握ると、凌ちゃんも手を握り返してくれる。