健診診断と恋と嘘

「お母さんが死んだのは、朔夜のせいだってずっと思ってたから。
だけど自分が結婚して親になって……お母さんがどんな想いで俺達を生んだのかやっと分かった。
真理にも、すごい怒られてさ。朔夜に謝るまで葵に触らせないって言われて参った」


お兄ちゃんの思いがけない言葉に驚いている私に、真理さんが優しく笑いかけてくれる。


「この人何も言わないから。私は物凄く仲の悪い兄妹なんだなって思ってたの。
朔夜ちゃんが帰って来ない本当の理由聞いたのも、朔夜ちゃんが小塚さんと帰ってくるって決まってからでね。だから、私からも……ごめんなさい。
もっと早く朔夜ちゃんのことちゃんと聞いておけば良かった」


二人に謝られて、私は慌てて首を横に振る。


「そんな、あの……確かに、私も自分が生まれて来なければよかったって思ってたので。
生まれて来てよかったって思えたの、凌平さんと出会ってからで……だからもう、今は大丈夫なので」


そう言うけど、お兄ちゃんはまだ眉を寄せて私のことを見つめている。



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