健診診断と恋と嘘

「いえ、そんなこと……」


そんなことないと言おうとした私を、温かいぬくもりが包み込んだ。


「こ、小塚さん」


う、わ。イ、イケメンに抱きしめられてる。何か、いい匂いするし。


泣きそうだったのに涙引っ込んじゃった。イケメン効果ってすごい。


「朔ちゃん、ちっちゃいな。泣いてもいいよ。お弁当のお礼に胸貸してあげる」


そう言われるけど、涙止まってます。かわりにすごいドキドキしてるけど。


「こ、小塚さん。イケメンさんに抱きしめられたら涙止まっちゃいました」


私がそう言うと私を抱きしめたまま小塚さんがぷっと吹き出す。


「何、それ。ああ、朔ちゃんてメンクイなんだっけ。こないだ受付の人と喋ってたね。俺、あの時初めてこの顔に生んでくれた親に感謝したわ」


肩を震わせて笑いながら小塚さんがそう言う。こないだの松坂さんとの会話、聞かれてたんだ。


それはそれでちょっと恥ずかしいな。


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