それはとっくに恋だった
いつものように誰もいない廊下で写真を眺めていると、横から声がした。


「水野?」


その声に固まった。


写真に夢中で近づいてくる足音にも気づかなかったらしい。


「水野」


疑問形ではなく、呼びかけに変わったその声に、私はゆっくりと振り返った。



「中津くん・・・」


そこには颯太が立っていた。


出会った頃とは違い、颯太の目線は私の少し上にある。


「何やってんの?」


「いや、ちょっと教室に忘れ物をしたついでに写真をちょっと・・・」


まさかあなたの写真を見てましたとは言えまい。


ましてや、部活終わりにわざわざ立ち寄って毎日見てますなんて。



それじゃ、まるでストーカーか変態だ。


「そっか・・・」


颯太は私の返答を信じたらしい、視線を私から写真へと移した。
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