それはとっくに恋だった
母がじーっと私を見つめる。


「颯太君がそういったの?」


私は首を横に振った。


「颯太は優しいからそんなこと言わない。」


「じゃあ、どうしてそう思うの?」


梨央と電話していた颯太の声がよみがえる。


颯太が出て行った扉の閉まる音がよみがえる。



胸が痛くてたまらない。



颯太と結婚したら、これから何度もこの痛みを味わなければいけないかもしれない。


「颯太とは付き合いが長いから、颯太のことはよくわかってる。

 颯太も私も結婚しない方がきっと幸せになれる。」



「颯太君と真尋の幸せはわかったわ。

 じゃあ、そのお腹の子の幸せは?その子の幸せはどうなるの?」


「それは・・・」



母の問いに言葉が詰まった。


< 49 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop