それはとっくに恋だった
「ねぇ、真尋。赤ちゃんは今、お腹の中にいて、あなたは赤ちゃんを自分の一部のように思うかもしれない。

 でもね、その子は、あと1年もしないうちに生まれてくるのよ。

 その子は、あなたの子だけどあなたじゃない。あなたとは全く別の人なのよ。あなたは、その子の人生を決めているの。」


「人生?」



「そうよ。だって、あなたの決断一つでその子はお父さんと暮らせないかも知れないのよ。

 世の中には、いろんな家族の形があるわ。もちろん一緒に暮らせない家族だっている。

 でもね真尋。あなたは、その子がお父さんと暮らせなくてもいいの?

 今、颯太君と別れることになると、その子は、まったくお父さんと暮らした記憶がないことになるのよ。」


「お父さんと暮らした記憶・・・・・」




そういわれて思い出したのは、父の顔だった。
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