雪の降る日に、願いを消して
それはきっと、聡樹にとっては一番残酷なことなのかもしれない。


恋愛対象として見ていない。


その事実を突きつけられると、誰だって傷つく。


「……ごめんなさい」


あたしはようやく、喉に張り付いた言葉を絞り出した。


その声はひどくしゃがれていて、一瞬にして何年分も年をとってしまったような声だった。


それでも、聡樹は笑わなかった。


真剣な表情のまま、あたしの腕を離す。


掴まれていた腕から温もりが遠ざかり、急に寂しさが込み上げて来た。


できれば、聡樹とは恋愛関係抜きで付き合っていきたい。


小学生の頃と同じように、大好きな友達でいたい。


そんな事を考えるあたしはきっと、甘いんだろう。


高校生になれば男女の恋愛が成り立つかどうか、なんてことを分かったように語り出す子もいるくらいだ。


ずっと仲良し。


みんな友達。


そんなきれいごとが成立する世界なんてないと、あたしはもう知っていた。


それがイジメであれ、恋愛であれ……。


「そっか」


聡樹はそう言い、あたしに背を向けて歩き出したのだった。
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