フォーチュン
「・・・つまらんな、今夜も」

宴をやって分かること。
それはレディの流行だ。
同じようなデザインのドレスを着て、同じようなメイクを施して。
皆似たような姿に見えるのは、俺が遠くから見ているせいだけではないはずだ。
今夜はこの中から何人が側室入りを果たすのか。
それすら興味も湧かなくなった。退屈だ。

ユーリスは、玉座の肘掛に右肘をつき、頬杖をついた。
左手を顔に伸ばそうとしたそのとき、隣にいるサロメ王妃が、ものすごい形相でユーリスを睨んだ。

「ユーリスッ!いくら退屈だからって、公衆の面前で鼻をほじっちゃダメです!」
「チッばれたか」
「だからと言って、この前のように耳もほじっちゃいけませんっ!」
「ユーリス!おまえはドラーク王国の次期国王になる男だぞ。もっとしゃきっとせい!」
「全く、何たるざまよ」と嘆く父上には申し訳ないが、俺はわざとらしくため息をついた。


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