フォーチュン
まさか上玉座でこんな会話がなされているとは、レディたちも思ってないだろう。
そう思ったら、退屈さが少しだけなくなった気がした。
だがそれも一瞬のこと。
退屈さはすぐに戻ってきた。

耳くそも鼻くそもほじるなと言うのなら・・・。
俺は椅子から立ち上がると、サッサと歩きだした。

「どこへ行く」
「どうやら出会いもなさそうだし、出かけてきます」
「なっ・・ユーリスッ!」
「俺がいなくなるんだから、せめて国王くらいはここに残ったほうがいいですよ」

わめく父上と、なだめる母上の声がだんだん遠のく。
こんな退屈な宴の中にいるより、活気ある街中へ出向いたほうが意義があるというものだ。
しかも今宵は夏至祭の真っ只中。
出かけないほうがどうかしている。

自室へ戻ると、街へ出かけるときの服装―――白い麻のシャツと黒いズボン―――に着替えた。
肩に届く金色の髪は、邪魔になるので後ろにひとつにまとめ、暑いのでねじりあげる。
後は銀縁のダテ眼鏡をかけて・・・出来上がり。
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