フォーチュン
「暗くなってきたね。明日も早く出発するから、アンはそろそろ休みなよ」
「え?ええ、はい。あの、ディオドラさんは?」
「ここの片づけを済ませて行くよ」
「私もお手伝いします」
「いいって。すぐ終わるから」
「あ・・ではお言葉に甘えて。おやすみなさい、ディオドラさん」
「おやすみー」

馬車の運転をずっとしてくれて、食事の用意もしてくれたディオドラさんのほうが、私よりもずっと疲れているはずだ。
と思っていたアンジェリークだったが、慣れない冒険劇に、心身の疲れが溜まっていたのだろう。
荷台に用意された寝床に包まると、あっという間に眠りに落ちた。

だからアンジェリークは、その間ディオドラがある男たちと密会していたことを知らない。

「確かだな?」
「うん。金持ってるよ、あの子。それに宝石も」
「よし。じゃあ明日の昼間あたり、決行だ」
「オーケー」
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