フォーチュン
ⅩⅩⅣ
ドラーク王国の次期国王として、ユーリス王子は元々多忙な執務をこなしていたが、アンジェリークという想い人がなかなか見つからない今は、彼女の捜索をする傍ら、激務と言えるほどの仕事量を詰め込み、それらをやり遂げることで、苛立ちや己に対する怒りを拡散させていた。
仕事を中心に生活をし、食事の量も睡眠時間も減ったユーリスは、少し痩せたように見える。
事情を知っている官吏や護衛、そして国王や王妃には、ユーリスが己に罰を与え、それとなく痛めつけてるように思えてならない。
だが、今の彼らにできることは、アンジェリークの捜索を全力で行うこと。
そして、二人のために祈ることしかない。

どうかアンジェリーク皇女が無事でいますように。
一日も早く、アンジェリーク皇女が見つかりますように。
そしてユーリス王子が心の平穏を再び戻しますように・・・。
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