フォーチュン
ユーリスの奇抜な行動、つまり急に走らせたことに対して、アンジェリークは怒るどころか楽しんでいる。

触れたい。

急に湧き起こった衝動を一瞬だけ抑えたユーリスは、結局アンジェリークを抱き寄せた。

「こ、コンラッド?」
「・・・大丈夫か?走らせすぎたか?」
「いいえ、大丈夫。いい運動になりました。それに」

アンジェリークが少し体を離し、ユーリスを仰ぎ見た。

「こう見えて私、昔からかけっこは得意ですの」

そう言ってニッコリ微笑むアンジェリークを見たユーリスの体に、欲望の熱が渦巻いた。
腰に手を添えていたユーリスの大きな手が、アンジェリークの髪に伸びる。

「・・・コン、ラッド・・・?」
「少し髪が乱れている」

というのは嘘だが、触れる口実にはなる。

驚きと戸惑いをすみれ色の瞳に見たユーリスは、落ち着かせるようにアンジェリークの髪を梳くように触れた。
何度も、規則正しく。
おずおずと微笑を浮かべたアンジェリークを見て、ユーリスは渋々手を離した。


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