フォーチュン
「さあ、レモネードを召し上がれ」
「はい、いただきます」

ユーリスに勧められるまま、アンジェリークは透明感があるブルーのグラスを持ち、中身を一口飲んだ。

「・・・あ。甘い。蜂蜜が入っているのかしら」
「ああ。レモネードはレモンと蜂蜜が入った飲み物だ。好みでミントの葉を入れる者もいる。ちなみに温かいレモネードには、それにシナモンを入れることもある。おまえが言っていたレモン水とは違ったようだな。すまなかった」
「いえっ!これもとても美味しいです。レモン水といえば、レモンを香りづけ程度に入れたお水のことで、バルドーではそれが日常的な飲み物なんです」
「ほう。おまえはバルドーの者か」
「はい。あなたはバルドーをご存知知なのですか?」
「ここ、ドラークから南東にある小国。今は女帝・ヴィヴィアーヌが国を治めている。比較的温暖な土地柄で、レモンの産地だと聞く。それでレモン水が日常的な飲み物なのか」
「はい!」

アンジェリークはコンタクトレンズをつけたすみれ色の瞳を輝かせてユーリスを見ると、ニッコリと微笑んだ。
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