フォーチュン
それから二人は、そこからメインストリートをまっすぐ歩きながら、両サイドにある出店を見ていた。
アンジェリークは思い切り顔をキョロキョロと左右に動かしては、「まあ!」「あら!」と言った感嘆の声をあげている。
初めて訪れたドラークの夏至祭に驚きつつ、興奮しているのは、ユーリスにもしっかり伝わっていた。
ユーリスは、アンジェリークのペースに合わせてゆっくり歩きながら、彼女が見たいと思っている出店では立ち止まるといった配慮を怠らなかった。

「わぁ・・・いい匂い」
「腹が減ったか」
「えっ!あ・・ええ。夕食をとり損ねて・・・」

王宮での宴には、とても美味しそうなご馳走が山のようにたくさんあったけど、「国務」のことを考えていたら、結局一口も食べれなかった。
というより、5分いたか、いなかったかという滞在では、何も食べれないのは当たり前よね・・・。
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