フォーチュン
ドラーク王国には「占術師(せんじゅつし)」という者が存在する。
占術師は、主に国政と国王に関わることを占う役目があり、まれに王家の者に対する占術をすることもある。
国を統治する国王は、占術師から発せられる言葉(メッセージ)を参考にした上で、政治の動向や行事の日程を決める時もある。

占術師は、タロットと呼ばれるカードを使って占いを行う。
そして占術師には、政治的権限というものがない。
というのも、占いの結果は、問いかけた者、及び万物の意志が、タロットを通して占術師に語りかけてくるものであると言われているからだ。
つまり占術師は、自分を媒体とした「メッセンジャー」であり、そこに占術師の意志は含まれていないということ。

しかし、「ただの」メッセンジャーではない。
問いかけた者の心の声や万物の意志は、誰もが聞けるものではないからだ。
しかも、占術師の占いの結果は、必ずといっていいほど当たると言われている。
それだけが理由ではないが、占術師は、この世に初めて誕生した創造物と言われている、「生命の木の化身」とも言われているがゆえに、占術師が発する言葉は、「神のメッセージ」であると言われている。
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