漂う嫌悪、彷徨う感情。
「本当に無理しないでくださいね。 余ったら、家に持って帰っておやつに食べるので」
美紗が椅子に座り直した。
「無理なんかしてない。 ・・・独り占めしたかったんだよ。 オレだけの為に買ったわけじゃないって分かってるんだけどさ。 美紗が買ってきたものだから。 ・・・もう、美紗から何かを貰うことなんてないと思うからさ」
本心を吐露しながら、コロコロと椅子を転がして元にいた位置に戻り、腰を掛ける。
美紗の気持ちが和馬に向いてしまったとしても、こんなに意地汚い事が平気で出来てしまうほどに、オレは今も美紗が好きだ。
「・・・・・・」
美紗が無言でオレを見つめる。 その目は何故か潤んでいた。
「ちょっと、話さない?? オレの話、聞いてくれない??」
美紗の涙の意味は分からないが、それでもこのチャンスを逃してはならないと思った。
美紗が和馬のものになってしまったのなら、美紗をこうして話す機会ももうないかもしれない。
今、自分の気持ちを全部話しておきたいと思った。