漂う嫌悪、彷徨う感情。
「真琴からしてみたら『美紗と和馬くんの旅行をぶち壊して欲しい』からだったんだと思うけど、オレもそうだったから利害が一致しただけなんだけど、結果的にナイスアシストだったんだよね、オレにとっては。 正直、何も出来なかったから、無駄な旅行だったなって思ってたんだけど、無駄じゃなかったみたいだし。 美紗がオレの事を気にしてくれたから」
「・・・うん」
オレの説明に納得していない様子の美紗の『うん』はきっと、『そうですね』の意味ではなくただの相槌だ。
「真琴にあの旅館を予約してもらった時にさ、真琴が『美紗を取り戻す事が出来たら、ハネムーン代出してあげるよ』ってさ。 『行きたいところも泊まりたいホテルも好きなの選べばいい』って言い出してさ。 まぁ、何割かは社割利くし、自分の営業ポイントになるからって事もあるんだろうけど」
それでも尚、話し続けるオレに、
「・・・自腹で営業成績上げても、結果損するじゃん。 海外旅行しようものなら、お給料2か月分飛んじゃうよ」
美紗が首を傾げた。