漂う嫌悪、彷徨う感情。

「・・・美紗との結婚がだめになりそうになった時、美紗のお母さんに会いに行ったんだ。 ちゃんと謝りたかったし、もし美紗がお母さんにまで嘘を吐いていたとしたら、『違う』って全力で否定しようと思ってさ。
美紗に口止めされてたのに、美紗のお母さんに美紗が過去に受けていたイジメの事、話した。 勝手にごめん。 美紗のお母さん、泣いてたよ。 美紗のお母さんも後悔してた。 『なんで気付かなかったんだろう』って。 美紗、お母さんを泣かせたくなくて黙ってたのにな。 オレ、泣かせちゃった。 本当にごめん」

謝りながら頭を下げると、

「・・・勇太くんの優しさを侮ってたな。 勇太くんがお母さんに会いに行く事、想定してなかった。 勇太くん、そういう人だもんね。 ワタシのお母さんの事も大事に思ってくれる人だもんね。 だから好きになったのに。  謝らなくていいよ、勇太くん。 お母さんを泣かせたのは勇太くんじゃない。 お母さんはきっと、自分にまで嘘を吐いて婚約破棄をしようとしたワタシに悲しくなって泣いたんだよ。 ワタシ今日、お母さんに謝る」

美紗がオレの顔を覗き込んで微笑んだ。
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