漂う嫌悪、彷徨う感情。

「・・・美紗、中学の時に酷いイジメに遭ってたんだよ。 本当に耳を疑う程の壮絶な内容のイジメだった。 結婚の挨拶をしにオレの実家に行った時、美紗を虐めていた人間がオレの妹だった事が分かってさ。 美紗、妹を見た途端に顔色悪くして、呼吸困難になるほどの過呼吸になってた。 で、『結婚出来ない。 ごめんなさい』って。
美紗、『自分から婚約破棄を申し出たから、責任は全部負う』って悪者を買って出て、あんな嘘を吐いたんだ。
美紗の嘘、すぐに辞めさせようと思ったけど、美紗に『過去にイジメを受けていた事は誰にも言わないで欲しい。 自分にもプライドがある』って言われて出来なかった。 本当は美紗、自分のプライドよりオレの体裁を守りたかっただけなんだよ。 オレが周りから『イジメを行う人間の兄』という目で見られないように。
・・・実を言うと、さっきのさっきまでそんな状態だった。 だけど、美紗が考え直してくれてさ。 多分、美紗にとって全部を納得した結婚ではないと思うんだ。 それでも美紗はオレを選んでくれたから、オレも美紗の為に動く。 オレ、美紗がでっち上げた嘘、全部消すから」

詳しく補足をすると、

「・・・佐藤が前に言ってた『美紗は何も悪くない』って、そういう事だったんだ。 ・・・木原さんに悪い事しちゃったな。 結構キツく当たったもんな、オレ」

岡本が『何だよ、それ。 まじかー』と言いながら頭を垂れ、項垂れた。
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