漂う嫌悪、彷徨う感情。

が、ムクっと顔を上げる岡本。

「・・・だとしても、木原さんの嘘はやっぱエグイわ」

「え??」

「佐藤は木原さんとのゴタゴタで周りの様子に気付かなかったかもしれないけどさ、みんな見事に木原さんの嘘に騙されて、『小田さん、頑張って今度こそ佐藤と付き合え!!』っていう応援ムードになってたんだよ。 オレも本人に『攻めろ!! 押せ押せ!!』的な事言っちゃたしさ。
木原さんが吐いた嘘をそのまま訂正してみんなに話すのは、ちょっと小田さんが可哀想。 部署のみんなだって、どうしていいか分かんないだろ。 小田さんに何て声掛けて、どう接しろって言うんだよ。
その真実は小田さんを傷つけるよ。 小田さんがあまりにも不憫」

岡本が難しい顔をしながらオレを見た。

岡本の話に、オレの顔も険しくなる。

自分の事で精いっぱいで、周辺がそんな動きをしている事に微塵も気付かなかった。

真実は小田さんを傷つける。 どうすれば美紗の嘘は覆るのだろう。
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