漂う嫌悪、彷徨う感情。

「・・・・・・」

人差指で眉間を擦りながら悩んでいると、

「佐藤、会議の時間だぞ。 取り敢えず、小田さんにはオレから本当の事を話しとく。 今の話を木原さんの味方である佐藤から伝えられるのは、相当辛いし残酷だと思う。 自分の好きな人が、騙された自分ではなく、騙した側を擁護するって、ショック大きいよ。 絶対。 だって小田さん、佐藤の事凄く好きだったからさ。 佐藤の結婚が決まって、小田さんがどんな思いで諦めたと思う?? そんな想いをもう1度掘り起こしておいて『嘘でした』はないよ。
木原さんの嘘はだめだよ。 佐藤を守りたくて吐いた嘘だからって、他の誰かを傷付けていいはずないよ。
みんなにどう話すかは佐藤が考えろよ。 話し方を間違えると大変な事になる。 みんなに『木原さんの嘘に踊らされてた』って捉えられ兼ねないから」

岡本が先に立ち上がり『行くぞ』とオレの頭をポンポンと撫でた。

「ありがとな、岡本。 小田さんの事、頼むわ。 オレ、ちょっと考えるわ。 どうにかするから」

遅れて自分も立ち上がり、2人で喫煙ルームを出た。
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