漂う嫌悪、彷徨う感情。
----------淡々と戦略会議を終え、着々と今日の仕事を片付け、美紗と一緒に退社。
2人で仲良く電車に乗り、美紗の実家に向かっている最中に、今日岡本と話した内容を美紗に話した。
「美紗に小田さんを傷付けるつもりはなかったって事は分かってるから」
と最後に付け加え、気分を悪くしただだろう美紗に気遣うと、視線を落としながら黙ってオレの話を聞いていた美紗が、
「・・・最初はそうだった。 勇太くんの事しか考えてなくて、自分の吐く嘘によって小田ちゃんがどんな気持ちになるかまでは、気が回ってなかった。 でも小田ちゃんが勇太くんに近付き出した時に、焦ってワタシ、小田ちゃんにちょっと意地の悪い事をしたんだ。 勇太くんと結婚出来ないって言ってたくせに、小田ちゃんに勇太くんを取られたくなくて、勇太くんに『ワタシの方が仕事出来ますアピール』してみたりした。
今日もそう。 勇太くんがこんなワタシとそれでも結婚するって言ってくれた時、ただただ嬉しくて、小田ちゃんの事を気にもしなかった。 酷いよね。 嫌な思いをしている人がいるのに、自分の幸せに酔ってるなんて。
・・・真琴ちゃんがワタシを嫌った理由は、ワタシのこういうところにあったんだと思う」
後悔を口にしながら俯いた。
美紗はこういう時、素直すぎるくらいに正直者だ。 自分の汚い部分を隠そうとしない。