漂う嫌悪、彷徨う感情。
「・・・きっついね、それ」
なのに、日下さんが同調してくれるから、あの頃の自分が慰められている様で、涙が止まらなくなる。
「・・・きっつかったです。 正直。 ホントに・・・」
『ヒックヒック』と背中が動き、否応なしに呼吸が浅くなってきた。
「・・・何を・・・されたの??」
日下さんがワタシの背中を摩りながら、1番聞かれたくない事を質問してきた。
「・・・・・・最初は、教科書隠されたり、制服捨てられたり・・・でした。 ・・・それから、体育倉庫に監禁されたり、トイレに閉じ込められたりし出して・・・。 どんどんエスカレートしていって・・・便器に顔押し込まれて溺れさせられたり、口の中に土と虫を詰め込まれたりしてました・・・」
話した途端に、ペットボトルも持っていられないくらいに、手どころではなく身体全体が震え出した。
手からペットボトルが滑り落ち、足元を転がった。
「大丈夫。 大丈夫だから。 もう、中学に戻る事はないんだから」
日下さんは、地面に落ちたペットボトルを拾うと、砂を払いながらワタシの膝の上に置き、ワタシを落ち着かせる様に何度も『大丈夫』と言い聞かせた。