漂う嫌悪、彷徨う感情。

「イヤイヤイヤ。 オレが女子に負けるわけがないでしょうが。 束で掛かって来ても蹴散らすわ。 オレの事、どんだけ非力だと思ってんのよ。 心外。 謝って」

日下さんが、さっきまで優しく撫でてくれていたワタシの頭を掻き荒らした。

「・・・ごめんなさい」

『グスグス』と鼻を啜りながら、乱れた髪を手櫛で直す。

「美紗ちゃんってさ、素直なんだか頑固なんだか分かんない子だよね。 とりあえず『信念が強い』って事だけは分かったけど。 美紗ちゃんのそういう強さは男前でカッコイイと思うけど、女の子なんだし、弱さとか隙とか見せた方が絶対モテるよ。 それが出来ないなら、計算ずくの強がりを披露するとかさー」

日下さんが笑いながら、自分で乱したワタシの髪を一緒になって整えだした。
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