漂う嫌悪、彷徨う感情。
「・・・計算ずくて」
「女子の『強がってないもん!!』て、健気を装って涙目で言うパフォーマンス、バレてないと思ってた?? 何気に男も少女マンガ普通に読むからね。 男もキュンキュンしたいのよ、たまには。 だから、女子の強がりアピールからの男子による『オレの前で強がんなよ』待ちの一連の流れが女子の大好物であることは分かっていて、それでもやっぱり可愛いから負けてるだけ」
「パフォーマンスて。 てゆーか、結局負けてるんじゃん」
「可愛いければ何でもいいんだよ、男なんて。 それに、負けといた方がモテる事を知った上での計算を、男だってするわけさ」
「なんか、引くんですけど」
日下さんに白い目を向けると、日下さんが舌を出しておどけた。
『クックックッ』そして2人でワタシの頭を整えながら笑い合う。
「・・・日下さん、ワタシが泣くからわざとしょうもない話挟んだでしょ?? 優しいですね」
ワタシだって気付いている。 日下さんが、苦しそうに話すワタシの事が見るに堪えなくて、意図的にふざけている事に。
「しょうもないて。 優しいのは間違いないけど」
ワタシに『優しい』と言われて、日下さんが照れ笑った。