青涙
「私の居場所をたまたま見つけるなんて…すごいね」
「たまたまじゃない…」
「たまたまじゃないって…。
私があそこに居るって知ってたの?」
「知ってた…」
「どんなして知ったの?」
「前に言ってたから…」
「前に言ってた?
何を?」
「迷う…って…」
「迷う?」
『まよ…迷うんだよね。よく公園とかでさ』
「ああ…あの話…」
前に私が変人の名前を言ってしまった時にはぐらかして言った話の事ね。
「よく覚えてたね…。覚えるの苦手なんじゃ…」
「得意です…」
「嘘だ…」
「本当です…」
「じゃあ、何でお姉ちゃんの好きなもののクイズ全問不正解なわけ?」
「全問正解です…」
「不正解だったってば!!
信じられないなら平太に電話しようか? その時、一緒に聞いてたし…」
「未子が言ってた…」
「へっ?」
「ちゃんと…聞いた…」
ええっと…。
「お姉ちゃんが…そう言ってたって事?」
変人がコクリと頷く。
「お姉ちゃんの好きな…歌手は…
“アフリカマイマイ”?」
「違う…」
「言ってたじゃない!!」
「二回目の時は違う…」
二回目?
『好きな歌手は?』
『最初に言っとくが、“アフリカマイマイ”じゃないぞ』
『タイ米でもないよ』
『はい、答えは!』