青涙
「TUKIKAGE…」

『TUKIKAGE…』

「四士舞は? 神崎くんが好きだったはず…」

「TUKIKAGEの方が好き…」

「そう…なんだ…」

知らなかった…。

「じゃあ…あの時答えた答えは全部…」

『好きな食べ物は?』

『餃子…』

『好きなスポーツは?』

『バスケ…』

『好きな香りは?』

『バニラ…』

「お姉ちゃんがそう言ってたんだ…」

変人がコクリと頷く。

そっか…。

「なら、私があげた好きなものノートは意味ないね。
嫌いなものノートも間違えてるかも…」

「意味なく…」

「その時に言いなよ…。
私、てっきりあんたの物覚えがすごい悪いって思ってたじゃん…」

「意味なく…」

「二つとも捨てていいから…」

「意味なくないです!
捨てません!」

「でも…間違え…」

「間違えてません!
好きなものです!
聞きました!
一番じゃないだけです!
だから、捨てません!」

「そう…。じゃあ、今度教えて…。
お姉ちゃんが一番好きなもの」

「教えます…」

お姉ちゃんの一番好きなもの、いつ変わったのだろう…。

「好きなスポーツは…」

「今度…教えて…」

「教えます…。
好きなスポーツは…」

「今度!!」

気づいたら…なのかな?

『大好きよ。那子』

最近までそう言ってたお姉ちゃんが



変人を一番好きになってたみたいに。
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