青涙
『あげてないよ!!』

言いましたね…。

「でも…“誕生日おめでとう”は…言ったよ?」

抱き締めながら…。

『嬉しかった……』って、言われたけど?

「それは、当然だろうが。
お前も魔王から言われたんだろ?」

「言われた…」


『…お誕生日…おめでとう…』

抱き締めながら…。

「でも…」

「物をあげてないよな?
お前はもらったのに」

「うん…。
トイレットぺーパーを」

「トイレットペーパー?」

「うん…。
6個…」

「6個もか!?
使ってるのか?」

「ううん…。まだ、家のトイレットぺーパー沢山あって…」

「あいつは尻を拭いてもらうためにトイレットぺーパーをあげたんじゃないだろ!!
涙を拭いてもらうためにあいつはあげてんだろ?」

「そうだと思うけど…」

「それも怒ってるんじゃないのか?」

「怒る?」

「トイレットペーパーをプレゼントしたのにお前、未だに涙をハンカチやティッシュで拭いてるだろ?」

「それが?」

「お金がなくて物を買って渡せないなら。
せめて使ってやれよ!!
あいつはお前のためを思ってトイレットペーパーをあげてるんだからよ!!!」

「そうだろうけど…。トイレットペーパーでは…」

「やれよ?
じゃないとずっと


無視されたままだぞ?」
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