情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
「・・・」


桐生さんはムッとした顔でコーヒーに砂糖とミルクは入れず、そのまま啜った。
伏し目がちに飲む姿にハッした。

男性なのに、まつエクしているかのような睫毛の量と艶。

カップを持つ指は筋張っているが細くてしなやかだった。


「人の顔や指先、ジロジロと観察するんじゃねぇ」

「ご、ごめんなさい・・・」

私は謝ると彼の顔から視線を逸らし、砂糖とミルクを入れてスプーンでくるくると混ぜた。


「桐生さんと言う呼び名はやめてくれ」


「え、あ…じゃどう読めばいいんですか?」


「蓮でいい」


「いきなり、呼び捨てはハードルが高いから蓮さんでいい?」


「うん、まぁそれでいい」

蓮さんは満足げにまたコーヒーを啜った。


ウェイトレスがオーダーしたブル-ベリーソースのパンケーキを運んで来た。


「今日はパンケーキ食べたい気分だったの」

「今、流行のパンケーキか・・・」

「蓮さんも食べます?」

「いらねぇよ」


彼は椅子の背凭れに背中を預けてスマホを弄り始めた。


「仕事はどうしたんですか?」


「昨日まで海外出張でシンガポールに行っていたんだ。そう言えば、お前にお土産買って来た。今度、やるよ」


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