キミと私の好きなヒト




現金なもので、たった一言で三木くんの印象はがらりと変わった。

ようするに、そんなかんたんに見る目が変わるほど私は彼を見ていなかったということ。

実加の言葉は正しかったんだと証明された。



「三木くん、ありがとう」

「えっと、どういたしまして?」



なんのことだかわかっていない三木くんにはっきりとした言葉は向けず、私はわずかに口元を緩ませた。






そうして私は少しずつ、少しずつ、三木くんのことを知っていった。

実加の方が彼と圧倒的に仲はよく、ふたりで遊んだ話だって何度も耳にした。

実加の表情が、三木くんの視線が、変わっていくところを見ていた。



なにもかもわかっていた、そのうえで私は……三木くんを好きになった。



結末のわかっていた恋は無理に変えたりしちゃいけない。したくない。

私の実加への気持ちが三木くんを好きになる前とは変わっていても、私はどうしたいか、どうするべきか、よくわかっている。

だけど、……だから。



ねえ、実加。

私たちは話をしなくちゃいけないね。






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